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新春浅草歌舞伎(第1部・第2部) [観劇(伝統芸能)]

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新春浅草歌舞伎
浅草公会堂 2009年1月4日(日)

【第1部】 11時開演 1階う列26番

お年玉<年始ご挨拶>は勘太郎。内容は特に外連味なく、第2部や2月松竹座の紹介なども素直な感じで微笑ましい。

1.一條大蔵譚 二幕
  曲舞
  奥殿
猿之助の大蔵卿はあまりきちんとした記憶がないので、観ていないかもしれない。今回の「曲舞」も澤瀉屋では演じられていたものの上演は珍しいものらしく、実際今日来るまでいつもの「檜垣」だとばかり思っていたくらいで、当然ながら初見。

ただ実際に観てみると、大蔵卿の命を狙う播磨大掾広盛と八剣勘解由を狂言舞で巧みにあしらうという一幕で、なかなか面白く観ることができた。亀治郎の大蔵卿はどちらかと言えば阿呆を作っている底が見えてしまい易い(賢さが見えてしまう)ので、踊りの上手さも相俟ってなるほど「檜垣」よりこちらの方が向いていると思えた。「奥殿」でも、正気に戻って少し手強さを見せ、また阿呆に戻るところも割合くっきりとしている。

勘太郎の吉岡鬼次郞は、時として力み過ぎと思える箇所もあるものの、総じて忠臣らしさをきっちりと見せる。七之助は常磐御前で、もう少し物語での情を表に出しても良いかとは思ったが、鬼次郞に本心を明かす箇所などは凛々しさも見せなかなか。男女蔵の広盛は相変わらずややせりふの密度が薄い感はあるものの、時代な雰囲気を出してまずまず。亀鶴の勘解由はほぼ本役に近い感じで口跡も良く、亀蔵のような古風さを感じさせる。また、予想以上に良かったのは今回初参加の松也で、鬼次郎女房お京を二幕通じてとても行儀良く勤めていて、とても好感が持てた。



  河竹黙阿弥 作
2.新古演劇十種の内 土蜘 長唄囃子連中
五代目菊五郎が初演し六代目も得意とした演目だが、二代目松緑から当代菊五郎へ受け継がれた音羽屋の家の芸という色が濃いこともあってか、勘三郎は先代、当代とも演じていないため、勘太郎にとっては大きなチャンスでありチャレンジということになる。

舞台は、まず幕開きから亀鶴の平井保昌がしっかりした雰囲気。松也の源頼光も品の良さを見せ、概ね危なげも少ない。次いで七之助の胡蝶が壺折の装束で現れ、こちらも端正に舞って繋げていく。いよいよ勘太郎の僧智籌が登場するが、ここでは期待したほどの大きさは見られない。しかし、後ジテで蜘蛛の精になってからは、特に動きの激しい箇所でのキレと迫力は予想通りなかなかのもの。これで「静」の部分での存在感が大きくなれば更に好ましいとは思うが、初演としては十分な出来だったのではないか。

それにしても、歌舞伎座以外の劇場(南座など)で義太夫狂言などを見て舞台が少し小さい方が空間の濃密さが好ましいと思ったことは何回かあるのだが、この「土蜘」は舞台のサイズとして歌舞伎座の規模がむしろ相応しいのではということを、珍しくも今回ふっと感じてしまった。



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【第2部】 11時開演 1階う列21番

お年玉<年始ご挨拶>は亀鶴。舞台から客席に降りるのにトンボを切ってみたり(ちょっとよろけた)、携帯電話で知り合い(の女性)と話す風で第1部や松竹座の宣伝をしたりと、結構工夫していた。

  長谷川伸 作
1.一本刀土俵入 二幕五場
勘太郎は真っ直ぐな芝居で序幕は良いだろうが大詰めはどうか、亀治郎は技巧が前に出すぎないか、といった心配もしていたのだが、何のことはないしっかり泣かされてしまった。

勘太郎の茂兵衛は、やはり序幕第一場の純朴さが一番。第二場の利根の渡しでは、お蔦への想いにもう一つ溜めがあればなお良い。大詰第一場では、人違いをされて怒る凄みがなかなか。第二場は、まだ開幕2日目ということもあってか、お蔦とのやりとりや立ち回りに間のぎこちなさが見られるものの、幕切れの決めぜりふはきちんと胸に迫るものを感じさせてくれた。

亀治郎のお蔦は、やはり序幕第一場が上手い。芝居の巧さはあるが鼻につくほどではなく、特に越中小原節には泣かされた。他は、男女蔵の波一里儀十、亀鶴の堀下根吉、松也の辰三郎と、それぞれ持つ力どおり十分の出来。また、この芝居はさすがに若手花形だけでは数が足りないため、弥八の山左衛門、老船頭の由次郎、若船頭の宗之助、船大工の桂三などが脇を固め舞台を締めていた。



2.京鹿子娘道成寺 長唄囃子連中
昨年も亀治郎や三津五郎の挑戦が記憶に新しいが、今回は彼らのように「何を見せてくれるか」ということよりも初挑戦自体への期待感を持って幕開きを待った。

今回は道行はなく、所化のやり取りの後で紅白幕が左右に引かれると、舞台中央に金の烏帽子を戴いた花子が現れる。中啓を持つ手が震えているようにも見えて、こちらにも緊張感がひしひしと伝わってくるが、踊り進むに連れて徐々に落ち着いてくる。面長な顔つきからは父よりも母方譲りの印象を受けるが、成駒屋の叔父よりは品が良いかもしれない。決して器用な方ではないためか、長唄との間に微妙なところがあったり、身体も必ずしも柔らかくはないのだが、最後まで懸命に取り組んでいる様子にはとても好感が持てた。また、鈴太鼓から鐘入りに至るまで息の上がるようなところがなかったのは、多少とも短縮版かつ若いということを割り引いても立派なものだし、まずまずの奮闘振りと言って良いのではないかと思った。

なお、昨日の国立では2階席だったので無理だったが、今日は3列目だったこともあり所化の撒いた手拭いも無事確保。

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終演は18時40分と比較的早かったので浅草寺にお参り。凶が多いという評判のここのお神籤(実際2度ほど引いたことがある)も「吉」で、お礼の意味も兼ねて浅草神社にもお参りしてから帰宅。元旦に地元の八幡神社へ初詣した時のお神籤も「吉」だったし、昨日のサイン入り升、今日の手拭いと、何やら新年から縁起が良い感じ。世間の状況を考えると気の重い仕事始めも、何とかこの勢いで上手にスタートしたいものだと思った。
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コメント 2

氷白蓮

ご無沙汰してます。
自分は昨日、観て参りました。若手の成長ぶりを観るのは楽しいですね。
亀治郎の大蔵卿は

>阿呆を作っている底が見えてしまい易い(賢さが見えてしまう)

うちの母君も同じ事を言ってました。
自分は、阿呆ぶりが意外に可愛いとしか思えず・・・まだまだ勉強不足です(汗)。

by 氷白蓮 (2009-01-16 19:01) 

ShyBoar

氷白連様、こんにちは。
こちらこそ、しばらくさぼっていたこともありご無沙汰となっており、失礼しました。引き続き、どうぞよろしく。
久々なのにコメントばかりかnice!までいただき、恐れ入ります。

今回は意欲的な亀治郎が珍しい「曲舞」をやってくれて楽しかったです。一方で「檜垣」は吉右衛門、仁左衛門、勘三郎などがやっていますが、そういえば作り阿呆のバランスがさらに難しい場面だなあと、改めて思ったりしました。
by ShyBoar (2009-01-17 09:49) 

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