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二月大歌舞伎(夜の部) [観劇(伝統芸能)]

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歌舞伎座さよなら公演 二月大歌舞伎(夜の部)
歌舞伎座 2009年2月7日(土)16時30分開演 1階17列38番

演目や役者の顔ぶればかりでなく、さよなら公演も2ヶ月目で浸透してきたたこともあるのかもしれないが、チケットはよく売れているらしい。この日も1階で若干補助席が出ていた。

1.蘭平物狂 二幕
三津五郎の蘭平を観るのは平成16年8月以来二度目。

行平館では物狂いの踊り、そして奥庭では立ち回りが見ものであるわけだが、いずれも充実した動き。立ち回りは最初の内はともすれば捕り手とゆっくり動きを合わせているようでいて、後半にかけて徐々にスピード感が出てくるのが凄いところ。


2.歌舞伎十八番の内 勧進帳 長唄囃子連中
1月よりは充実した演目の今月でも、特にお目当てだったのがこれ。

期待に違わず、花道の出から吉右衛門の弁慶の存在感が何より強く印象に残る。全体を通じて、科白劇として中身の濃い勧進帳となっており、観ることができて良かったと素直に思える舞台だった。四天王も段四郎、染五郎、菊五郎、松緑と揃っていて嬉しい。


  河竹黙阿弥 作
3.三人吉三巴白浪 大川端庚申塚の場 一幕
玉三郎のお嬢、染五郎のお坊、松緑の和尚という顔ぶれ。

玉三郎の口跡は正直やや違和感もあるが、思ったほどではなく個人的には何とか許容範囲というところか。少し七之助のような雰囲気も感じた。お坊は意外と難しい役どころで染五郎も奮闘していたが、手の内にするにはもう一歩というところかもしれない。松緑も口跡を含め好き嫌いは別れるかもしれないが、辰之助時代から何度も手掛けてきた成果というか、自分のものにしている雰囲気は感じられてまずまず。
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NODA・MAP「パイパー」 [観劇(その他)]

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NODA・MAP第14回公演「パイパー」
シアターコクーン 2009年1月31日(土)19時開演 2階B列27番

昨年の「キル」再演には行っていないので、一昨年の「ロープ」、番外公演の「THE BEE」以来となるNODA・MAP。今回も松たか子、宮沢りえ出演ということも相俟って人気チケットだったようで、e+のプレオーダーでは外れたが@ぴあで何とか入手。

舞台は未来の火星。火星に移住した地球人の移住後の歴史とフラッシュバックしながら進行する。それ以上はネタバレになるので詳しくは書けないが、パンフレット巻頭に野田自身が書いている「幸せは人間の病」「数字と気分(不幸せ)の悪循環」「自滅していく幸せ」といったものをはじめとして、現代の文化・文明の状況に対する批評・疑問を含む様々な寓意が重層的に散りばめられている。その中でこちらも、例えば「火星=日本?(では地球は?金星は?)」といった連想に次々と思いを巡らしていく。

ただ、そうしたテーマに対し劇中で明らかな答えが提示されるような底割れは見せないものの、逆にやや拡散したままの印象が否めなかったのも正直なところ。野田独特の言葉遊びも連発されるが、こちらの慣れもあってか意外と切れ味が感じられなかった。さらに、終盤まで持ち越された謎は人間にとって古く重いタブーに絡むものだが、割合と早い段階で見えてきてしまったこともあって、その衝撃が他を圧するほどインパクトが強いということにはならなかった。

一方役者のパフォーマンスとしては、まずは宮沢りえがほぼ全編を通じて強い存在感を維持する。松たか子は前半から中盤までの無垢な妹のときはまあまあだが、終盤にかけて主体的な強さが出てきてからと母親役に切り替わる部分では、本来のせりふの強さと凛々しさを感じた。橋爪功は身体も良く動くばかりでなく、醸し出す雰囲気も含めさすがの巧さ。以上の顔ぶれと同等にほぼ出ずっぱりの大倉孝二も、凡庸になりかねない役を過不足なく見せていた。佐藤江梨子は意外な活躍とまではいかなかったが、邪魔にはなっておらず一生懸命さは伝わってきた。パイパーというロボット達はコンドルズが扮していたが、彼らが受け持つ必然性までは伝わってこなかった。

歴史の場面と行き来する際の照明効果や舞台上の転換は、スピード感もあり悪くない。一方で気になったのは、音楽にクラシックを多く用いているのだが、それがベートーヴェン「交響曲第6番『田園』」、ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」など超有名曲がほとんどだったこと。そのことの陳腐さ自体が狙いなのであればともかく、そうでなければこういうことを意識させない工夫をして欲しい気もした。

こうして挙げてみるとネガティブな感想が多くなってしまったが、2時間5分の舞台として楽しんだことは確かだし、むしろ知らず知らず期待度を上げてしまった結果ということなのかもしれない。

終演後は、途中でHMVに寄ってちょっとCDを物色してから、大人しく帰宅。


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The Manhattan Transfer in Blue Note TOKYO [Music]

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The Manhattan Transfer(1st Stage)
Blue Note TOKYO  2009年1月28日(水)19時

この日、実は別の来日アーティストのライブに行く予定にしていたのだが、後からこちらがあることを知った同行の友人から相談があり、予約済みの方をキャンセルできるとのことだったので、少しだけ迷って乗り換えた。結果としては、こちらを選んで正解だったと思う。
ちなみに、Blue Note TOKYOに足を運ぶのは実は今回が初めてで、場所を確認して改めて少年時代に縁のあるエリアにあることを知ってちょっとビックリ。

先に自由席の良いところを確保してくれていた友人に少し遅れて、18時前に到着。パスタをシェアして食べコエドの生ビールなど飲みながら開演を待つ。19時を5分ほど過ぎたところで、テーブルの間を通って4人が舞台へ。

BlueNote TOKYOのサイトに掲載されていたセットリストは事前に見ていて、1st Stageと2nd Stageの曲がほぼ決まっているのかと思っていたら、この日の1st Stageはどちらとも完全には一致していなかった。まあ、聴きたい曲を全部やってもらったら何時間かかるかわからないので、その時々の選曲で楽しむということになるのだろう。全曲は憶えておらずセットリストの形にはならないが、記憶しているだけでも以下のとおり(かつ順不同)。

・Until I Met You(Corner Pocket)
・Shaker Song
・Hear The Voices
・TUTU
・Java Jive
・That's The Way It Goes
・On The Boulvard
・Trickle Trickle
・Ray's Rockhouse
(アンコール)
・Birdland

メンバーの年齢を詳らかに書くのもどうかとは思うが、Tim Hauser(68)、Alan Paul(59)、Janis Siegel(56)、Cheryl Bentyne(55)と、当然のことながら歳を重ねてきている。

まず男性メンバーだが、特にAlanがテナーパートでもあり、声の勢いがかつてとは異なるのはやむを得ないかな、という感じがあったのは正直なところ。またPAの具合とも相俟って、バンド(ギター、ベース、ドラムス、キーボード)の音が大きい箇所などでは、コーラスの厚みという点で少しだけ物足りなさを感じることもないわけではなかった。

それでも、特にアカペラパートになった時などはやはり鳥肌ものというのを通り越して、本当に自然と涙が出てくるようなコーラスワークを聴かせてもらうことができた。これには文句なしに圧倒されたし、ホールでのコンサートで味わえない小規模のライブならではの世界を堪能することができた。

さらに女性二人については、Cherylも一見すると大味に見えながらきめの細かいヴォカリーズを聴かせてくれて健在、と言うかむしろ巧さが増しているし、Janisに至っては「自在」という言葉に尽きるパフォーマンスに本当に感動させられ、大満足のひとときとなった。

終演後は久々に、小学校の後輩(当時は面識はなかったが担任の先生が同じというご縁)が改装した自宅で営業している南青山の"Amoh's Bar"へ。友人とモヒートなどを飲み、少しクールダウンしてから帰宅。

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壽初春大歌舞伎(昼の部) [観劇(伝統芸能)]

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歌舞伎座さよなら公演 壽初春大歌舞伎(昼の部)
歌舞伎座 2009年1月25日(日)11時開演 1階17列17番

この日は、アメリカ在住10年以上になる学生時代以来の友人と同行。日米の生活を通じ政治・経済・文化と幅広い分野に造詣が深いのだが、歌舞伎はあまり観ていないものの興味はあるとのことで、仕事で一時帰国している時期に合わせて誘ってみたという次第。

1.春祝式三番叟 竹本連中
演舞場と並んで三番叟物から始まるが、こちらはもう少し儀式性が強い感じ。同行の友人に演目の由来などつらつら説明したが「まあ、縁起物ということね」と簡潔的確にまとめられてしまった。

幕が上がると松羽目の舞台で、まずは先触れの後見として錦之助と松江が登場し客席に一礼。続いて翁が千歳と三番叟を伴って現れる。翁は傘寿の富十郎で、膝の不安を微かに感じないでもないが、何といっても堂々とした姿に落ち着きがあるし「とうとうたらり・・・」の声にも張りがある。千歳は菊之助と松緑で、特に目立つところはないものの神妙に勤めているという様子。翁が退出すると背景が松から鶴へと変わり、梅玉が勤める三番叟が動き始める。こちらも特に派手な動きも見せず行儀良くきちんきちんと舞い進んでいくが、むしろそれが観ていて心地良いという印象。



  近松門左衛門 作
2.平家女護島 俊寛 一幕
幸四郎の俊寛はこれまでも観ているが、残念ながらしっくりきた憶えがない。実も蓋もないがむしろ他の役者達がどうかに関心があったというのが正直なところ。

今回も、冒頭から成経と千鳥の婚礼で一指し舞う辺りまではまあそれほどでもないが、船が到着して以降は、悲しみ、驚き、落胆、葛藤といった激しい感情の起伏を現すべき場面場面で、あえて喉を絞ってに弱々しさを強調したような口跡への違和感もあり、なかなか素直に感情移入しにくい。瀬尾そして清盛への憎しみ、妻東屋への追慕、千鳥への慈愛、そして「思い切っても凡夫心」以降の幕切れと、いくつもあるポイントのどこを軸として組み立てているのかも伝わって来にくい。初見だった同行の友人も「何か、考え過ぎという感じかな」という印象を口にしていた。

瀬尾はこのところ段四郎の安定した芝居を多く見てきたが、今回は彦三郎。多少癖のある口跡もまあ許容範囲で、憎らしさはもう一段強い方が良いとは思うが、極めどころの芝居は結構骨太な安定感があった。康頼は初役という歌六は強い存在感を示すまでには至らないものの、不足はない。

成経は三度目となる染五郎で、せりふも動きもかなりしっくりと身についた感じで、なかなか良い感じ。丹左衛門も数多く勤めている梅玉で、一層の安定感と颯爽とした佇まいを見せて十分。同じく何度も勤めている芝雀の千鳥も、一旦取り残されてのクドキに情のこもった味わいが感じられたのが嬉しい。



  河竹黙阿弥 作
3. 十六夜清心 一幕
物語としては発端となる箇所だけの上演でもあり、また清元に乗せて心中の場面を描く場面に漂う独特の風情と役者自体の魅力を味わう演目だけに、初見の友人にはどうかと思ったが、それなりに楽しんでもらえたようで一安心。

何度も手掛けている菊五郎の清心、また二度目というのがちょっと意外な時蔵の十六夜ともに、役の若さを見せることも含め手に入った安定感がある。場が変わって俳諧師白蓮は吉右衛門で、こちらは懐の深い役どころに良く合った口跡で味わいを見せる。付き合う船頭の歌昇は初役だが、吉右衛門との間合いにも無理がなく、良い意味で器用にこなす。求女の梅枝も、こうした水準の役者達の中で臆せずきちんとした芝居で十分。



4.鷺娘 長唄囃子連中
今回友人を誘う際に、夜の部は残念ながらスケジュールが合わなかったのだが、昼の部でもこれを観てもらえばとりあえずは損はないだろう、と思っていた。私自身、最近記憶しているだけで2005年の歌舞伎座本興行、2007年の特別舞踊公演についで3回目になるが、今回も極めてレベルの高い舞台となっていたと思うし、客席にジワが来るという感覚を友人にも味わってもらえたのは良かった。また、杵屋勝国以下の三味線と囃子方がこちらも高い水準の演奏を聞かせてくれて、このことにも友人ともども強い印象を受けた。

今回一つ感心したのは、早変わりで引き抜く直前の乱れが殆ど見られないこと。最初の白から赤へ変わる時は、身体の前で両袖をきっちりと重ねることで変わる真際まで白い姿を保ち、その後も傘の陰に上手く隠れることで、引き抜いて出た後との変化を鮮やかなものにしているのは、やはり玉三郎ならではの美学の一端ということだろうか。



終演後、友人からは「こんなに水準の高いものをいつも観られるというのは、本当に贅沢なこと。(魅力的な)『悪所』だよなあ。」とのコメントで、楽しんでもらえただけでなく、まあすっかりお見通しという感じだった。


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壽初春大歌舞伎(夜の部) [観劇(伝統芸能)]

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歌舞伎座さよなら公演 壽初春大歌舞伎
歌舞伎座 2009年1月24日(土)16時30分開演 1階2列33番

1月も下旬になって、ようやく「さよなら公演」の始まった歌舞伎座へ。

1.壽曽我体面 一幕
1月の演目と出演俳優を見たとき工藤はてっきり富十郎かと思ったが、よく見たら幸四郎だった。幕開き直後の道具裏からの声は朗々としていたが、登場してからはくぐもった口跡がやはり気になる。もちろん、五郎・十郎に位負けはしないものの、もっと堂々と大きく見せることは十分できるはずだと思うのだが、意外と(でもないか)終始淡々とした雰囲気。

見どころは、何と言っても吉右衛門の五郎。本人も筋書のインタビューで「64才である私が、前髪の、エネルギーの有り余った若者として演じたい」と言っているが、由良之助(内蔵助も)、弁慶、河内山を持ち役にしているイメージも邪魔をしてか、直情的な若武者には見えにくい。それでも、一生懸命に勢いと稚気を見せる姿が微笑ましくもあるし、存在感の大きさは十分すぎるほど。この先再度演じる可能性は少ないのではないかと思うと、貴重なものを見せて貰えたという気持ちになった。

菊五郎の十郎は、何回となく勤めてきた本役であり文句なし。女形では、大磯の虎の芝雀の美しさが目立つ。菊之助の化粧坂少将はちょっと控えめ。染五郎が赤っ面の近江小藤太、松緑が白塗りの八幡三郎なのは、ニンからすると逆の方が合っているかも。鬼王新左衛門は梅玉で、きっちりとした行儀良さが心地良い。



2.春興鏡獅子 長唄囃子連中
まずは幕開きで吉之丞の老女、歌江の局が並んでいるところに贅沢さを感じる。

勘三郎の本作は、上演記録によると勘九郎時代に本興行で15回、襲名後は今回が2回目とのこと。こちらもここ10年程の間に何度も観ているが、今回はあまり勢いに流れる面が見られない。まずは弥生だが、一つひとつの所作をとても丁寧に進めていく姿が印象的。

胡蝶はともに8才の千之助と玉太郎で、一生懸命に踊る姿がきちんとお稽古をしたことも感じさせて何とも可愛いらしく、殆どの観客が目尻を下げていたのではないか。

後ジテの獅子になってからも、一つ一つをかっちり極めながら、髪の振り方も勢いに任せるというよりは着実に盛り上げていく感じで素直に観ることができた。全体を通じて、キレや勢いは以前ほど目立たないものの、バランスの良い仕上がりとなっていたように思う。



  三島由紀夫 作 二世藤間勘祖 演出・振付
3.鰯賣戀曳網 一幕二場
勘三郎・玉三郎コンビで観るのもこれで三度目。猿源氏の父・海老名なあみだぶつは、前回まで勤めていた左團次が今月は演舞場なので今回は彌十郎だが、こちらも博労や廓の亭主で出演経験があるだけに、幕開きから違和感がない。博労はこちらも三回目となる染五郎で、野暮ったい雰囲気を無理なく出して笑いをとっていた。

主役の勘三郎と玉三郎も、ともに今まで以上に無理のない感じ。鰯売りの声も魚尽くしの軍物語も勘三郎が時々見せるやり過ぎ感もなく、素朴なお伽話という枠の中ですいすいと話が進んでいくのは悪くないし、玉三郎も、鰯売りの声を聞いて城から抜け出したお姫様が廓に売られ傾城蛍火となっている、というおっとりと浮世離れした設定のとおりの風情で、幕切れまで微笑ましい気持ちで楽しめた。

他には、東蔵が揚屋の亭主を初役ながら予想通り器用にこなす。庭男実は藪熊次郎太の亀蔵はまずまず。また、蛍火を取り囲む他の傾城達が歌女之丞、京妙、京蔵といった顔ぶれで、対照的に濃い雰囲気を漂わせていたのも楽しかった。
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初春花形歌舞伎(昼の部) [観劇(伝統芸能)]

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初春花形歌舞伎(昼の部)
新橋演舞場 2009年1月18日(日)11時開演 3階1列42番

昨日に引き続き演舞場へ。今日は1列目の上手側で通路際の席なので、少しゆったり。

1.猿翁十種の内 二人三番叟 竹本連中
猿楽に起源を持ち能から歌舞伎へ取り入れられた三番叟物は本当に様々なスタイルがあるが、今回の「二人三番叟」は澤瀉屋の家の芸として初代猿翁から当代猿之助へと受け継がれてきたもの。澤瀉屋若手だけで演舞場以上の本舞台にかけるのはチャレンジと言えるだろう。

下手に橋掛かり風の部分を持つ松羽目の舞台。文楽で幕開き前にいつも聞きなれていることもあって、上手に並ぶ竹本の響きが心地良い。まずは笑也の千歳、弘太郎の付千歳、さらに段治郎の翁が登場するが、残念ながら古風な大らかさや荘重さが今一つ感じられないのが、少々物足りない。続いていよいよ右近と猿弥の三番叟が登場し、こちらは人形ぶりも交えて軽妙に踊り、片方がサボったり帰ろうとするところでは客席からも和やかな笑い声が聞こえていた。



2.寿初春 口 上 一幕
   市川海老蔵「にらみ」相勤め申し候
今公演の演目が発表されたとき、私も「にらんでもらいにだけ行くかなぁ」と軽口を叩いたのだが、昼夜全ての中で市川宗家御曹子の海老蔵ならではの幕と言えばやはりこれだろう。得意の目力でにらむところでは襲名時の口上を思い起こしたし、狂言名題(演目)の読み上げをするだけで「仕初め式」という古風な雰囲気が少し味わえるのも悪くはない。



3.義経千本桜 木の実/小金吾討死/すし屋 二幕三場
千本桜の三役である渡海屋銀平実は平知盛、いがみの権太、佐藤忠信実は源九郎狐を全て演じることは、「立役の卒業論文」という言い方がある。出典不詳なのが気になってネットで簡単に検索してみた限りでは、どうも当代猿之助が元気な頃に「一日で三役演じれば・・・」という前提で言ったということのようだ。海老蔵の場合は飛び飛びながら1年間の短期間に全て手がけているものの、まだまだ卒業とは言えないと思うのは私ばかりではないだろう。「傷は多いが意欲的」と言うべきか、「意欲はあるとは思うが、相変わらず傷も多い」と言うべきか、難しいところではある。

海老蔵の他の役、あるいは獅童の忠兵衛で感じたのも似た感覚のような気がするのだが、妙に生々しいというか、型を追うよりも自らの実感を頼りにリアルさを前面に出した芝居のように見えて仕方がない。「木の実」では、そのやり方がそれなりに効果を上げている面があるようにも思えたが、かといって言葉や醸し出す雰囲気は大和の田舎のならず者ではなく基本的には江戸のものなので、やはり中途半端さは否めない。

さらにこれが「すし屋」になると、海老蔵流リアルでは押しきれないと言うか、きちんとした型を踏みながら情も交えて盛り上げていくやり方をしてほしいという物足りなさがどうしても残ってしまう。また、全くレベルの違う話かもしれないが、先に観た友人が指摘していて私も気になってしまったのが、海老蔵の肉体、というか筋肉。胸元をはだける場面も多いわけだが、ジムで鍛えたような大胸筋は、これも江戸時代の田舎のならず者の身体に見えず、リアルさを追うやり方自体も阻害しているような気がしてしまった。

その他の顔ぶれでは、段治郎の小金吾が若衆らしい風情で立ち回りもまずまず。笑三郎のこせんは世話女房らしさを見せる。若葉の内侍は元々存在感を見せるのが難しい役だと思うが、笑也でもやはり影の薄さが気になった。門之助の弥助実は経盛は過不足なし。春猿のお里はまずまずではあったが、時に見せる生々しさがやはりマイナス。左團次の弥左衛門、右之助のおくらは、さすがに本役で観ていても落ち着く芝居。

4.お祭り 清元連中
同じ演目でも、先日の松竹座では仁左衛門の鳶頭に孝太郎の芸者に若い者が立ち回り風に次々と絡む、という形だったが、今回は海老蔵、獅童、猿弥の鳶頭に春猿、門之助、笑三郎の芸者が順次舞台に現れて二人ずつ、あるいは鳶頭だけ、芸者だけでの踊りを見せ、最後は海老蔵を中央に全員が並んで幕となるというやり方。まあ、前幕の権太の落ち入りで打ち出しというのも暗いので、昼の部を明るく締めくくるという意味はあるということだろう。

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初春花形歌舞伎(夜の部) [観劇(伝統芸能)]

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初春花形歌舞伎(夜の部)
新橋演舞場 2009年1月17日(土)16時30分開演 3階2列14番

1.歌舞伎十八番の内 七つ面 常盤津連中
歌舞伎十八番の中で、九代目が「新七つ面」という形で復活し新歌舞伎十八番に加えたり、二代目松緑が昭和58年に別の形で上演してはいるが、それ以外には殆ど演じられていないとのこと。その意味で、今回の上演は復活と言うよりむしろ新作に近いと言えるだろうし、作曲、振付を含めて苦労もあったのではないか。それでも幾つかの手がかりをもとに、七つの面を取替ながら踊る所作事としてシンプルにまとめられており、面白く見ることができた。



2.恋飛脚大和往来 封印切 一幕
澤瀉屋若手の封印切は、本格的に歌舞伎を見始めて間もない平成4年にパルコ劇場での右近/笑也で観た憶えがあるが、今回は澤瀉屋で固めた中に獅童の忠兵衛を迎える形。ただ、失礼ながら今月最も「怖いもの見たさ」だったのが正直なところだが、見終わってみると再々失礼ながら思っていたほどの違和感は感じずに済んだ。

養子の立場ながら遊女に入れあげ、一方朋輩である八右衛門の嫉妬と優越感の入り混じった言葉に煽られた挙句に、見栄と短慮から公金に手をつけるという取り返しのつかない行為に及ぶ、そんな若者の姿を、型とか上方言葉のこなしは別にして、何とも言えずリアルな雰囲気で見せていたように思う。今後とも煮詰めていって再演の機会を得ることができるなら、むしろ意外と向いている役かもしれない、という気もした。

対する八右衛門は、猿弥が本興行では恐らくは初役で勤めていて、芝居の流れを断ち切らないように頑張っているのだが、そうするとどうしても言葉が平板になり、良く言っても現代の関西弁になってしまうのが何とも辛いところ。

笑三郎の梅川は、しっとりと破綻なく安心感はあるが、贅沢を言えばもう少し若い一途さが強めに出ても良い気もする。門之助のおえんは4年前の浅草以来だが、まずまず手堅く勤める。槌屋治右衛門の寿猿も、もう一段の大きい存在感や男気が見えると良かったか。



3.弁天娘女男白浪 白浪五人男 二幕五場
海老蔵の弁天小僧は新之助時代の平成10年3月以来とのことだが、私としては初見。娘姿でも結構ごつい感じだし女形の声もぎこちないのが難と言えば難だが、菊五郎~菊之助ラインの雰囲気が唯一無二というわけでもない、と一歩引いて考えれば、男に戻ってからのふてぶてしさを見せるこうしたやり方も「あり」なのかもしれないとも思うし、少なくとも例えば彼の与三郎よりは違和感は少ない。

獅童の南郷も浅草で2回経験していることもあり、本役とまでは言えずともぎこちなさはそれほど感じられず、一安心。しかし、左團次の玉島逸当実は日本駄右衛門が登場すると、さすがに格の違いがはっきりするのは言うまでもない。

続く稲瀬川勢揃いでは、段治郎の忠信利平、春猿の赤星十三郎が加わるが、両名ともまずまず。ここまでで終わってもよいのだろうが、大詰では極楽寺屋根立腹の場で海老蔵の立ち回りをたっぷり見せ、最後は山門と土橋で締め括るのは、ご贔屓へのサービスといったところか。


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Chaka Khan [Music]

Chaka Khan
Billboard Live 東京 2009年1月12日(月) 18時開演

今回は、学生時代からの友人とその歌舞伎観劇仲間(顔見知り)という顔ぶれ。開演の一時間前が入場時刻なので、17時10分前に集合して予約時の整理番号に従って並んでから順次入場。ある程度の幅で席を選ぶことができるので、最前列右端のテーブル席に陣取る。ビールやピザやなどで軽く飲み食いしつつ、今後のラインナップが映画の予告編よろしくスクリーンに流されるのを眺めながら待つことになるが、これは結構プロモーション効果は高い(と言うか、上手く狙われている)ような気もする。

いよいよバンドが揃ってイントロが始まると程なく本人が登場し、いきなり"I Feel For You"から弾けるようにスタート。以下、"Ain't Nobody"や81年に日本で売れた"Whatcha Gonna Do For Me"などヒット曲が続く。2007年のオリジナルアルバム"Funk This"からのナンバー"Angel"、そして"Through The Fire"でもしっとりかつパワフルな歌声を聴かせてくれた。バックもドラム、ギター、キーボード、女2男1のコーラスというメンバーを、リーダー格のベーシストがきっちりまとめていて、とてもアナログな感じが心地よかった。

最後はRufus時代の名曲"Tell Me Something Good"から"Sweet Thing"という流れで締めくくりかと思ったが、アンコールですぐに再登場し"I'm Every Woman"(これが残っているのを忘れていた)で盛り上がって終了。こうして1時間半近くたっぷり楽しませてくれたが、これを一晩で2ステージやるエネルギーには頭が下がる思いがした。


セットリスト】
01. Intro : Once You Get Started
02. I Feel For You
03. Ain’t Nobody
04. Stay
05. Whatcha Gonna Do For Me
06. Please Pardon Me
07. Hollywood
08. Do You Love What You Feel
09. Angel
10. Through The Fire
11. You Got The Love
12. Tell Me Something Good
13. Sweet Thing
(アンコール)
I’m Every Woman


Epiphany: The Best of Chaka Khan, Vol. 1

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「japan 蒔絵」展 [Art]

japan 蒔絵 ー宮殿を飾る 東洋の煌めきー
サントリー美術館 2009年1月12日(月)

この日は大阪から午前中に移動して東京に戻って来た。夜にはBillboard Live 東京でChaka Khanのライブがあるが、それまで少し時間があったので、同じミッドタウンにあるサントリー美術館に行ってみることにした。

昨年秋に京都で開催されてからこちらに来たもので、展示の前半は10世紀から16世紀までを中心に、京都国立博物館や高台寺、建仁寺などから国宝、重文も含めた所蔵品が並び、かなり古いものでも状態は良くなかなかに味わい深い。

一方、展示の中盤以降は安土桃山の「南蛮漆器」、さらに江戸時代にかけてヨーロッパに渡ったものが中心。特に鎖国以降の「紅毛漆器」と呼ばれ、現在はヴィクトリア&アルバート美術館やギメ東洋美術館に所属されている品々の豪華な華やかさには圧倒される。さらに「ダイヤより蒔絵」と言っていたマリア・テレジアの影響も受けて熱心な蒐集家だったというマリー・アントワネットのコレクションはヨーロッパ有数のものとのことで、細工の細かいミニチュアの箪笥のような小物入れ、香合など、優雅かつ贅沢なものが並ぶ。

その他の王侯貴族所有の逸品も含め、フランス革命以降に散逸する一方でロスチャイルドを初めとする資本家、実業家などに所有されながら、現代では美術館に収まって我々の目に触れること自体が奇跡のようでもある。

まだまだゆっくり観ていたかったが、気がつくと次の予定の集合時間が迫ってきたこともあり、少し後ろ髪を引かれながらも慌ただしく会場を後にした。
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初春文楽公演(昼夜) [観劇(伝統芸能)]

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初春文楽公演
国立文楽劇場 2009年1月11日(日)

遠征二日目は文楽。国立文楽劇場は、大きな門松、にらみ鯛など、まだまだ正月気分があって嬉しい。


【昼の部】 11時開演 1階4列5番

1.花競四季寿 万才・海女・関寺小町・鷺娘
人形浄瑠璃が初演の変化舞踊。藤間流による「鷺娘」以外は、歌舞伎の片岡愛之助が四代目家元を最近になって継承した楳茂都流という上方舞の振付とのこと。前日の松竹座で藤十郎が踊った「春寿松萬歳」もこの「万才」が元になっているらしい。それぞれに異なる題材で四季の移り変わりを表現しており、新春公演の幕開きとして相応しく楽しめる一幕。

床には大夫7名、三味線6名が並ぶが、清治以下の三味線が良く揃った切れの良い音を聞かせてくれていた。人形では海女と関寺小町を勤めた文雀の味わい深さと、清十郎の鷺娘の華やかさが印象的。



2.増補忠臣蔵 本蔵下屋敷の段
明治期に作られた忠臣蔵の外伝物の一つで、歌舞伎でも観た憶えはない。「假名手本忠臣蔵」九段目の「山科閑居」に先立つ場面を描いており、外伝物ならではのエピソードとして分かり易さがある一方でネタ割れ感も。大夫、三味線、人形ともきちんと勤めて物語の組み立てがくっきりと伝わる。



3,夕霧・伊左衛門・曲輪文章
こちらも松竹座の歌舞伎と同じ演目で、同じ大阪の興行で競い合っているようで楽しい。幕開きからの餅つきなど師走の廓の情景を描く部分も、歌舞伎とは微妙に異なっているのも興味深い。人形は和生の夕霧、勘十郎の伊左衛門で良い雰囲気。義太夫は切の嶋大夫が柔らかくかつきめ細かく聴かせてくれた。




【夜の部】 16時開演 1階7列32番

新版歌祭文
 座摩社の段
 野崎村の段
 油屋の段
「新版歌祭文」の言わば半通し。「野崎村」は歌舞伎、文楽とも最も有名な演目の一つとも言えるし、先立つ「座摩社」もしばしば観ることができるが、「油屋」は恐らく初めてで貴重な機会。

「座摩社」は大坂の当時の風俗が上手に描かれていて楽しい。いつも思うが、金をだまし取る一連の策略やお染久松の絡みなど、役者が芝居でやるよりも人形の方が段取り良く分かり易い印象を受ける。床は複数の大夫が役を語り分けるやり方で、入れ替わりのもたつきはないものの、調子が今一つのように感じられる大夫がいたのは少し残念。三味線は清友が淡々と支える。

「野崎村」は、人形が簑助のおみつ、和生の久作、勘十郎の小助、清十郎のお染、玉女の久松という、当代ではなかなか良く揃った顔ぶれで十分。一方大夫も、前の英大夫から綱大夫、切が住大夫という豪華リレー。闊達な英大夫に続く綱大夫は少し渋すぎるようでもあったが、住大夫はさすがに終始たっぷりと情感溢れる語りで、十分に堪能させていただいた。

「油屋」は、敵役の底が割れた策略とそれが露見するチャリ場、また悪役の戻りなど展開が変化に富んでおり、予想以上に楽しめた。そんな様々な展開を奥の咲大夫が熱く語りきり、燕三がそれを職人的な雰囲気の三味線で支えていた。


タグ:文楽
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